濱口祐自 フロム・カツウラ

〈FUJIFILM X-E2 +XF35mmF1.4 R〉

和歌山県勝浦出身のギタリスト、濱口祐自さんのアルバム『濱口祐自 フロム・カツウラ』を最近よく聴いている。還暦手前にしてニューカマーのメジャーデビューアルバムだ。以前ピーター・バラカンさんのラジオ番組「Barakan Morning」に出演されたことがあるので知っている方もいるかもしれないが、ぼくは先日たまたまAmazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」の欄に載っていたの見かけて、濱口さんのことを知った。

初めて見るCDジャケットに写っていたのはギターを抱えた見知らぬミュージシャン。なんとなくその風貌が、自分好みの音楽を奏でてくれそうな予感がして、YouTubeで色々チェックしていくうちに、そのギタープレイに瞬く間に惹かれていった。ブルースをベースにしつつジャズやクラシックも吸収したそのプレイは、一言では言い表せない不思議な魅力を感じた。フィンガーピッキングによる繊細なプレイを聴かせてくれたと思いきや、スライドバーを使って、ブルースフィーリングばっちりの豪快なプレイで唸らせてくる。「スキーにサーフィン、滑るものはなんでも気持ちがええ」常々そんな風に主張しているという濱口さんのスライドギターは一聴の価値ありだ。

アルバム『濱口祐自 フロム・カツウラ』は久保田麻琴さんがプロデュースをしている。彼もYouTubeにアップされていた濱口さんの演奏を聴いて感銘を受け、自らコンタクトを取り、交流が始まったのだとか。オリジナル曲に加え、エリック・サティの「Gnossiennes no.1」や映画『黒いオルフェ』の主題歌「Manha De Carnaval」なんてカバー曲も収録されているし、ブルースという枠組みに押しはめて濱口さんのイメージを固めてしまうのはちょっと勿体ないかもしれない。ブルースファンに限らず、もっと幅広い層に受け入れられそうな、そんな気がする。ヴォーカルなしのインストアルバムだから、BGMとして聴くにも良いし、じっくり向き合って聴くと美しいギターの音色に癒され、至福のひと時が味わえる一枚だ。

動画で濱口さんが話しているのを見ると、なんとも言えない自由な空気が流れていて、音楽だけじゃなくてその人物にも惹き付けられてしまう。話す内容も面白いけど、語り口調が聞いていてすごく心地良いんだな。なかなか面白いミュージシャンだ。家業はマグロのはえ縄漁をされており、長男であるご自身も若い頃に船に乗られたことがあるそう。船の上では演歌や、時には軍艦マーチまで流れるような中、濱口さんはMiles Davisの『Kind Of Blue』をよく聴いていたそうだ。濱口さんのことを知ってから、勝浦にも興味が湧いてきた。いつの日か、勝浦旅行に行く日が来るかもしれないなぁ。道中のBGMにはやっぱりこの『濱口祐自 フロム・カツウラ』が聴きたいね。

“濱口祐自 フロム・カツウラ” への4件のフィードバック

  1. ezee より:

    まいどでおます。
    勝浦にこんなオッサンがいるとは驚きです。ええギター弾かはりますね~
    一度行きましたが、崇高な滝もさることながら
    クジラを知るには良い町ですよ! 

  2. Okada より:

    ezeeさん、毎度です。
    聴いていて気持ちの良いギターですよねぇ。
    お、勝浦行ったことがあるんですね。
    大阪から勝浦まで、結構な時間がかかりそうなので、
    チビ助がもう少し大きくなったら、行ってみようと思います。
    色々見所ありそうですね。

  3. TO より:

    勝浦と言う町は千葉にも有ります。港町です。
    実は黒潮に乗って(流されて)、土佐や和歌山辺りから来た人々が千葉に腰を落ち着けたのだとか。
    僕は山の中に住んでますが、やはり人間、海辺で生きなけりゃなあ、と思うこの頃です。

  4. Okada より:

    TOさん
    千葉の勝浦にはそんな所以があったんですね。
    海は良いですね。
    ぼくは海に近い川の近くに住んでいるのですが、
    海が見えるわけではないし、海辺で暮らすことには憧れます。

TO へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA